おしらせ

シンポジウム「改正法を受けて、団体ごとの自立相談支援事業の改善・改革ビジョンを考える~事業評価ガイドを活用したアクションプラン検討のABC~」を開催しました。

3月27日水曜日にTKP新橋カンファレンスセンターにて「改正法を受けて、団体ごとの自立相談支援事業の改善・改革ビジョンを考える~事業評価ガイドを活用したアクションプラン検討のABC~」を開催いたしました。※
昨年・一昨年に引き続き、今回もまた年度末にも関わらず、全国各地から約50名の行政の方、市民団体や企業など自立相談支援事業を行っている皆様にお越しいただきました。
平成29年度に作成した「評価ガイド」の実践導入サポートの効果検証をしてきた中で、どのような方法で普及展開していくのが良いか調査結果を報告させていただきました。
自立相談支援事業における就労支援が全体的に効果的なものへと発展していくために、評価ガイドの普及展開方法の検討、評価ガイドの実践導入サポートとその効果検証を行い、改正法後の取組み課題を整理するとともに、各団体が改正法の主旨を実現するために進めるべき改善・改革は何か? 評価ガイドはどのような役割を果たすのか、どのように活用するのか、評価ガイドの導入(試行)事例等を発表させていただきました。

主催者挨拶として、ユニバーサル志縁センター代表理事池田徹より生活困窮者自立支援法が変わっていく中で、これから増えていく行政から民間への委託がより効果的なるために、標準的な評価指標の重要性や、今回の事業で行ってきたいくつかの自治体でモデル的に試していただいたことで、支援の質が変化し、その発表を踏まえて皆さんと議論していく有意義な時間にしていきたいことの説明がありました。
基調講演では厚生労働省 生活困窮者自立支援室室長補佐の米丸様に「改正生活困窮者自立支援法の今後の展望」というテーマで、生活困窮者自立支援制度における就労支援についてご説明いただきました。
制度施行後3年を経過してもまだこの事業自体をどういうふうに評価していくのかっていうところは、まだ課題はあることの説明や、生活困窮者自立支援事業における支援状況調査ではこの3年間では毎年新規相談件数年間22万人あること、そのうち相談情報提携のみで終了した方が18万人。また、他機関につないだ方が14万人、ステップアップされた方が大体7割であり、実績は出ていることの説明がありました。
厚生労働省がまとめる就労準備支援事業の効果について三つの指標(①意欲、関係性、参加に関する状況②経済的困窮の改善に関する状況③就労に関する状況)の説明があり、支援期間1年間で就労準備支援事業を行っている自治体と行っていない自治体では①と③で大きな効果があり、就労準備支援事業をやることについては、非常に効果が出ていることの説明がありました。
認定訓練のインセンティブについては、損害保険料など本人の業務上災害があったときの保険料は現在事業所の持ち出しになっている部分については、補助が可能になる見直しがあることの説明がありました。また、就職氷河期対策として、サポステと連携した取り組みということで、現在、困窮の利用者はサポステ事業所が利用を断るケースが全国的にいろんな地域で起きているが、来年度からモデル的に全国12カ所で連携した取り組みをスタートし、この取り組みと合わせて運用のほうでも改善を行って、その地域で支援の内容がかぶらなければ、双方の事業が利用可能になるというふうに運用の見直しを行う予定であることの説明がありました。
また障害者就業生活支援センターに、困窮制度と連携するための就労支援員を置き、全国50カ所でこのセンターに職業安定局が配置し、合わせて厚生労働省で生活支援員を配置できることになり、困窮のその他事業の枠組みの中で2分の1補助ということで、都道府県を中心に生活支援員を配置できることの説明がありました。

基調報告では、日本ファンドレイジング協会事務局長の鴨崎貴泰委員とA´ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター) 就労支援室長の西岡正次委員に本事業の「成果報告」をしていただきました。
鴨崎委員からは平成27年度からこの一連の調査の経過や課題とどのような改善をしてきたかの説明や評価実践ガイドがどのような構成になっているかの説明をしていただきました。
自立相談の支援事業所の皆さんが自分たちの事業の成果を実際に自分たちで測る仕組みで、ロジックモデルを活用し、当事者が就労定着して経済的に自立するというゴールを設定して、誰にどんな変化が起こるとそこにつながるのかということを、体系的にモデリングしたものになっていることなどの説明がありました。また、事業所調査票や評価結果をもとに事業改善をするためのチェックシート形式になっていることの説明がありました。
今年度は実際に導入サポートもさせていただいて、幾つかの事業所さんに使っていただいて、その結果、事業改善期間を経て事業成果までどのように変わっていくのかということを検証するという背景があり、今年度の調査になっていることの説明がありました。
今年度は全国の先進的な取り組みをされてる事業所さんにあらためてヒアリングをして、ガイドの内容の拡充をすること、そして実際その幾つかの事業所さんに、実践ガイドを導入サポートを、専門員として導入支援のコンサルテーションをして、現状を把握した上でその事業所の強み弱みを分析をして、具体的な改善のアクションを考えて、数カ月後にもう一回訪問をさせていただいて、実際そのアクションができたのかどうか、またその事業所および相談者の変化にどのようなことが起こったのかということを、今回調査したことの説明がありました。
第1弾調査(2018年10月~11月)では10の支援機関さんにご協力をいただいて、この事業改善のコツを、フェデリティ尺度や効果的援助要素を得点化していき、どんな事業改善のコツを実践されているのかということを詳細にヒアリング調査したことの説明がありました。
第2弾調査(2018年12月~2019年3月)では実践ガイド全国七つの事業所に実際、導入のコンサルテーションをしていただきながらアクションプランシート等を用いて実施をし、アンケート調査等の検定の結果、統計的に有意性が確認されている項目もあるという説明がありました。
本事業の4つのポイントとして①実践ガイドに基づくコンサルテーションが、事業所の事業改善のコツをより高めていくということに有効であること、②この事業改善のコツ、効果的援助要素が、これを改善すればするほど事業所自身の、それからその先の相談者のアウトカム、成果、変化に寄与する向上するということが確認されたこと、③高い取り組みができている事業所は成果が高いということ、④この実践ガイドを実践すればするほど事業所、または相談者の変化にもポジティブな変化が出せるという検証ができたことの説明がありました。
今後の課題として、今回行ったコンサルテーションは、西岡さんが専門員として行っていただいて、もう少しこの方法を体系化して実践導入、整理することで自立相談支援事業自体の質の向上に寄与できるのではないか、また、これをどう継続できるのか、普及展開のチャネルとして制度上のことを考える都道府県単位でこういう支援、普及していくような仕掛け、トレーニングのようなことが必要だということの説明がありました。
最後に、事業所ごとに個別のケース、事例というのが非常に重要であり、それ自体を事業所間で共有できるような仕組み、仕掛けということも非常に有用であるし、有効だということが確認できており、実践ガイドを元に客観的に事業所の状況を、事業改善のことを把握しながら、次の年度の事業計画、または人員配置、または予算計画にも反映していけるような使い方ができるとより実践的なものになるという説明もありました。

西岡委員からは「評価ガイド」導入サポート~伴走支援(試行)にかかわって~についてご説明いただきました。第2弾調査(2018年12月~2019年3月)の流れとして、七つの団体に2回ずつ訪問をし、効果的援助要素(チェックシート)を用いたりアクションプランシートの作成などしていただき、事業評価ヒアリングし、基本的な生活困窮の自立相談支援の体制ではそれぞれの特徴が出ていることの説明がありました。
チェックシートをレーダーチャートにすることによりどの部分に弱みがあるか、どう進めていきたいかなどアクションプランシートのような形で初回に整理をさせていただき、課題のブラッシュアップや具体的な提案をさせていただいて、最終にまたこの2月、3月に訪問させていただいて、その状況を見たことの説明がありました。
就労準備支援等の利用が進まない原因や、効果的援助要素(チェックシート)から見た就労支援の現状については相談支援が進んできたときに、就労支援、特に就労系は就労準備支援という枠組みが設定されたが、就労準備支援事業自体をどういう内容に、相談者に合った適切な支援という形で具体化がしたいのかというのが、個々、地域ごとにそれぞれのテーマや課題が出てきたことの説明がありました。
就労準備の具体的な、あるいは解決へ向けて何を提供・提案すればいいかがなく、考え方としては、就労準備支援があれば良いと言われているが、中身がないという今の状況が今回も共通しており、アセス、処方に役立つ支援メニューをどう作るか、チェックシートではB(多様な働き方メニューを増やす支援)、E(相談者が安心して働き続けるための支援)の領域は共通して課題だったことの説明がありました。
生活困窮者の制度の中で事業者と協力者での地域づくりにつながっていることやアクターの方との連携の中でその方の活躍をする場をつくっていくことが重要であることの説明がありました。

パネルディスカッションでは今回第2弾調査にご協力いただきました、新潟市パーソナル・サポート・センター 相談支援員の北村ゆいさんと世田谷区生活福祉担当課 係長の山中巌さんを交えて各パネリストの皆様にお話いただきました。
実際に評価ガイドの導入サポートを受けての感想として北村さんからは新潟市は約80万人の人口がいるが、その中で6名の相談員がいるが、ほとんど兼務で就労支援といってもハローワークの専門援助部門につなぐことが主な支援になってしまっていているのが現状で、今回、導入サポートを受けることによって、どんなところが自分たち弱みなのかとか強みなのか、何がこの期間の間でできるかというのを考える時間が取れたという説明がありました。
新潟市では、就労準備の事業所が市内に2カ所あり、そこと連携はあるもののなかなかそこが何をしているかというのが自立相談支援機関としてあまり分かってなかったというのが現状で、今回そこがどんな企業とつながっているかという聞き取りをして、まずは就労準備が関わっている、ある程度理解のある業者さんのほうにあいさつに行こうというところまで来ることができたことの説明がありました。
山中さんからは世田谷区は他の障害者の就労支援機関であったり、経済産業の所管がやっている就労支援機関であったり、目黒、渋谷と合わせてサポートステーションも区内にあり、そことの連携がずっと課題で、障害の有無とかいったことにこだわらずに就労支援できる環境を何とか整えないと、現場が持たないという取り組みをしているところに今回の話があり、自立相談支援機関にとっては、ある程度こういうことをやっていくと、効果的な事業になるということを教えていただいた部分がかなりあったことの説明があった。
反面、無理やりなチェックの付け方をしたので、特に長くノウハウを蓄積してこられた障害の支援機関は納得がいかないと言うか、特に、就労定着の部分は自分たちは自信を持って、誇りを持ってやってきていて、それが全然、得点がいかない、どういうことなんだ、みたいな感じでかなり不満を持っていらして、その原因がどこにあるかはこれから調査をすべきではないかという意見もありました。
濱政委員からは濱政 豊中は、平成21年から就労支援ということで、現場レベルで法律で決まったことをやりなさいよという形ではなくて、いわゆる就労困難な方の支援をするために何が必要かという道のないところを積み上げてつくってきたものであり、こういった取り組みが効果があるのかどうか試行錯誤しながら取り組んできていて、それをさまざまな機関の方と意見交換することによって、こういうものがつくってきたというところがあるという説明がありました。
就労支援の経験のない自治体さんであっても、これまで経験のあったところのノウハウが詰まった一覧になるので、経験がなくてもこんなことやったらいいのではないかという指標になり、予算要求を現在して議会通り、来年度から新たな取り組みもしたいと思っていることの説明があった。
谷口委員からは谷口さんからは共通言語をつくるということがとても重要であり、いろいろな受託団体の形態もあり、また地域性もあり、さまざまな自治体によっても生活指標が異なる中において、みんなでこの制度をより良いものにしていってさらに発展をさせていく、このことを考えるときに、共通の一定程度の共通言語、指標となるものがあってそれを元に各地の取り組みを比較検討していって、より良いものはさらに取り入れて自分の地域を良くしていく、こういったことに使うためにはこういった体系化、整備された指標があることによって変わっていくものがあるという説明がありました。
評価ガイドをどう使っていくか第1弾調査を受けて鴨崎委員からは鴨崎 このガイドを事業所の皆さまにどうぞ使ってくださいと言って公開するだけではなかなか活用が、普及展開という意味でも進んでいかず、幾つか普及展開していくためのポイントはあるかと思うんですけども、何らかこれが制度的な位置付けになっていて公の評価の中に組み入れられていくとか、これによって例えば何らかの報酬であるとかまたはそういった収入というところと何かひも付いていくような、評価と実績と事業費用が何らか連動していくと、普及展開があり得るという説明がありました。
また、もう少し制度の話と別に考えても、何かこういった取り組みをして可視化していくこと自体が社会の中、またはコミュニティーの中で評価されるような空気づくりや、そのための仕組み作りみたいなところもすぐにできる部分と幾つかレベル感があるのかなと思っていることの意見がありました。
また、自治体単位なのかまたは全国のそういった就労支援のネットワークみたいなものも、多分、あると伺っていますので民間レベルのそういったネットワーキングの中で、事業所さんが取り組んだ事例を発表し合うとか学び合うみたいな機会をつくって、お互いが学び合いながらお互いが評価したこと自体を評価していくというような、そういったようないろんなレイヤーで取り組みをしていくことによって、これが使われるシーンと、使ったことで効果を実感できるシーンというか機会を増やしていくというところが次のステップであるという意見もありました。
第2弾調査を受けて西岡委員からは 研修とかいろいろな場を通じて好事例というところから、あれをやったらいいのかなとかいろんなヒントをもらいながらそれぞれの事業改善につなげるというのがよくあったという意見がありました。  連携できる企業があって、業務の作業の洗い出しができたらこのシートを支援機関の方、就労支援の担当者がこれを作るという形で、これを作れば相談支援員さん、窓口に配置をして作業の聞き取り理解をし、支援メニューを処方するというときの情報になるという感じを想定していて、こういう流れを応援する側、コンサルテーションする側も技術的なところというのを、可能な範囲の中で一歩出るというところがポイントだという形で入らせていただいたという説明がありました。  また、このシートの感想として、何人相談受けたよ、就労したよだけでその地域の中で言ってるよりも、企業と連携できればわが町にはこういう企業もあるというのは、実は大事な地域情報であり、地域づくりそのものの表現になるという意見がありました。  メニューでいえば協力企業をつくるとか、メニューを多く作るとかいうところでの評価のチェックになるが、その結果としてそれをどうリポートに表すかによれば、あるいは表現自体、そういうふうにリポートすること自体を自治体はもっと、ふるさと納税の返礼品じゃないが、こういう質的なもので競争しても良い気がして、最終的にこの評価が広まって、地域のすごく特徴を表すような事業を表現することができるんではないか、そんな材料がそろってきてるんではないかという意見がありました。  参加者の皆様からは「各自治体の話が聴けて、良かったと思います。やはり、出口支援が重要だと感じました。」「実施体制の状況により、関係機関と作り上げるアウトカムの難しさを感じましたが、取り組む必要性は強く感じました。」などご感想をいただきました。

今後もみなさまと一緒に就労支援のあり方を考えていけたらと思います。全体アンケート結果はこちら
※平成30年度 厚生労働省 社会福祉推進事業「自立相談支援事業評価実践ガイド普及展開方法検討事業」

「改正法を受けて、団体ごとの自立相談支援事業の改善・改革ビジョンを考える~事業評価ガイドを活用したアクションプラン検討のABC~」案内チラシ

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